ウイング経営労務コラム

メンタルヘルス

「復職」の判断権者   [2012.08.11]

こんにちは。

『東京ウイング社労士事務所』の山田です。

精神的な病気で、休職している従業員の復職時期ほど悩ましいものはありません。

従業員本人は、できる限り早く職場に復帰したいことから、医師の「就労可能」との診断書を根拠に復職を求めてくることがあります。

しかし、医師の「就労可能」との診断書があったにせよ、復職の最終判断をするのは、会社です。

ただ

復職の判断に当たって、疑義等があれば本人の同意を得たうえで、主治医の意見を聴くことができます

併せて、会社の産業医の意見も聴くことも可能です。

ただし、就業規則には主治医や産業医等の意見を聴くことがある旨の規定を定めておく必要があります。

精神的な病気は、傷害と異なり、面談しても普段の様子とは変わらない場合が多いことから、復職後の早い時期に再発することがあるため、慎重に判断しなければなりません。

なお、復職に当たっては、従業員の精神的な負担をなくすため、先ずは原則として休職前の職場に戻すことが望ましいと考えます。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

 

「職場のパワーハラスメント」   [2012.07.03]

こんにちは。

『東京ウィング社労士事務所』の山田です。

職場のパワーハラスメントについては、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」(平成24年1月30日)の中で、次のとおり報告されています。

1.「職場のパワーハラスメント」とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。(上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含む。)

 

2.「職場のパワーハラスメント」の行為類型には、次の6項目がある。(典型的なものであり、すべてを網羅するものではないことに留意が必要。)

 ≪ 類型 ≫                ≪ 具体的行為 ≫

(1)身体的な攻撃         暴行・傷害

(2)精神的な攻撃         脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言

(3)人間関係からの切り離し      隔離・仲間外し・無視

(4)過大な要求         業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害

(5)過小な要求                業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる                                 

(6)個の侵害           私的なことに過度に立ち入ること

 

うつ病などを発病し、発病前概ね6ヶ月の間(いじめなど出来事が繰り返されるものについては、発病6ヶ月よりも前から開始されている場合、発病前6ヶ月以内の期間にも継続しているときには開始時からのすべての行為を評価の対象とします。)   

例えば

・部下に対する上司の言動が、業務指導の範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定するような言動が含まれ、かつ、これが執拗に行われた

・同僚等による多人数が結託しての人格や人間性を否定するような言動が執拗に行われた

・治療を要する程度の暴行を受けた

場合には心理的負荷の総合評価「強」と判断され、労災認定の要件を満たすことになります。

会社の職場環境を良くし、働きがいのある職場とするためにも、あらかじめ就業規則等でパワーハラスメントの禁止を定めておくことが大切です。

最後までご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。

 

 

「精神障害の労災申請、認定件数」   [2012.06.17]

こんにちは。

『東京ウィング社労士事務所』の山田です。

6月15日、厚生労働省が公表した平成23年度の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」によれば、精神障害の労災請求件数が3年連続で過去最高を更新し、労災補償の支給決定件数も過去最高となっています。

・労災請求件数は、1,272件 3年連続で過去最高

・労災補償の支給決定件数は、325件 2年連続で過去最高

・業種では請求件数は「医療業」(94件)が多く、支給決定件数は「総合工事業」(22件)が最多となっています。

・職種別では、請求件数は①「事務従事者」(323件)、②「専門的・技術的職業従事者」(318件)、③「販売従事者」(167件)の順で多く、支給決定件数は①「専門的・技術的職業従事者」(78件)、②「事務従事者」(59件)、③「販売従事者」(40件)の順に多くなっています。

・年齢別では、請求件数、支給決定件数ともに①30~39歳」(420件、112件)、②「40~49歳」(365件、71件)、③「20~29歳」(247件、69件)の順に多くなっています。

・出来事別の支給決定件数では、①「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」(52件)、②「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」(48件)、③「(ひどい)嫌がらせ、いじめ又は暴行を受けた」(40件)の順に多くなっています。

デフレ経済から脱却できない国内経済状況下にあり、ギリギリの人員しかいない労働環境と多様な雇用形態の進行よって、長時間労働やひどい嫌がらせ、いじめなどに起因する精神障害が増え続けています。

特に、働き盛りの30歳代が請求件数、支給決定件数とも、それぞれ1/3を占めていることが気がかりなことです。

『心理的な負荷による精神障害の認定基準』は、平成23年12月26日に新たに策定され、うつ病などの発病直前の1ヶ月に概ね160時間超または3週間に概ね120時間以上の時間外労働を行った場合には、労災と認定されることになります。

一方『脳・心臓疾患の認定基準』では、くも膜下出血などの「脳血管疾患」や、心筋梗塞などの「心臓疾患」の場合には、発病前1ヶ月前に概ね100時間または2~6ヶ月間にわたって1か月あたり概ね80時間超の時間外労働を行った場合には、発病と関連性が強いことから、労災と認定されることになります。

長時間労働をなくし、ひどい嫌がらせやいじめなど陰湿な職場環境を改善するためには、労使双方、十分な話し合いが必要です。

(ご参考)平成23年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」まとめ

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002coxc.html

いつもご愛読いただきまして、ありがとうございました。

「心の病」は早期発見が大切!   [2012.06.11]

「ウイング経営労務コラム」に、ご訪問いただきまして、誠にありがとうございます。

 

世相を反映して増え続けている「心の病」は、他の病気と同様に早期発見、早期治療が鉄則と言われています。

では、職場での心身の異常の信号とは、どのようなものがあるでしょうか。

1. 無断欠勤、遅刻、早退が多くなる。

2. うっかりミスが多くなる。

3. 仕事の時間中、ぼんやりしている。

4. 仕事の能率が落ちる。

5. 積極性がなくなる。

6. 責任感がなくなる。

7. 会話が少なくなる。

8. 職場の集まりに参加しなくなる。

9. よく自分の席を離れる。

10.落ち着くがなくなる。     など。

職場の周囲の人が異変に早く気づくことが、早期治療につながることになります。

特に、職場の上司は、常日頃から部下の言動、顔色、服装などに注意を払うとともに、声かけをすることが大切です。

そして、異常が見受けられたら、まずは体調の具合や悩みはないかなど、ゆっくりと本人の話をよく聞くことが大切です。

話を聞いたうえで、疲れているようでしたら、休むことを勧めます。

休んでも症状が改善されていなければ、本人の意向を確認しつつ、専門医の受診を勧めることにします。

心の病は現代社会にあっては、誰もがかかる可能性があります。

自分流のストレス解消法を身につけましょう。

 

いつもご愛読いただきまして、ありがとうございました。

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