ウイング経営労務コラム

退職・解雇

「解雇予告手当」   [2012.08.24]

こんにちは。

『東京ウイング社労士事務所』の山田です。

使用者は、労働者を解雇しようとするときには、少なくとも30日前までに「解雇の予告」をすることが必要となります。 

解雇予告期間の日数は、予告した日の翌日から起算し、解雇する当日までです。

例えば、8月31日が解雇日とすれば、8月1日には解雇の予告をしなければなりません。

予告なしに解雇する場合は「解雇予告手当」として、最低30日分平均賃金の支払いが必要です。

また、解雇予告の日数は、「解雇予告手当」を支払った日数分だけ、30日から短縮することができます。

例えば、上述の例では、10日分の「解雇予告手当」を支払ったときには、8月21日に解雇することができます。

ただし、次の場合においては、解雇する前に労働基準監督署長の認定(「解雇予告除外認定」)があれば、「解雇の予告」や「解雇予告手当」の支払いをしないで、即時に解雇することができます。

1. 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となったとき

2. 労働者の責(会社内における窃盗、横領、傷害等刑法犯に該当する行為など)に帰すべき事由に基づいて解雇するとき

なお、業務上の傷病による休業期間とその後30日間及び産前産後休業期間とその後30日間については、解雇できないことになっています。

最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

「退職願」の撤回   [2012.08.08]

こんにちは。

『東京ウイング社労士事務所』の山田です。

今回は、「退職願」の撤回について、考察してみましょう。

先ずは、「退職願」と「退職届」の違いを押さえておきましょう。

「退職願」従業員から会社に対する労働契約の合意解約の申し入れですが「退職届」は、従業員から労働契約解約の一方的な意思表示です。

労働契約の解約については、民法627条において、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から、2週間を経過することによって終了する。」と定められています。

したがって、一方的な解約の意思表示については、2週間の経過とともに雇用契約は終了することになります。

一方、「退職願」のような「合意解約」の場合には、労働者と使用者が合意によって労働契約を将来に向けて解約することであることから、意思の合致が必要となります。

判例では、労働者の能力、人物、実績等について掌握し得る立場にある人事部長が、労働者からの「退職願」を受理したことをもって、会社の即時承諾の意思表示がされたものであり、「退職願」が受理された段階から「退職願」の撤回はできないとされています。(大隅鉄工所事件最高裁三小判 62.9.18)

つまり、会社側の合意が承諾されるまでの間においては、「退職願」の撤回は可能ということです。

最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

「整理解雇」の4要件とは   [2012.05.28]

「ウイング経営労務コラム」に、ご訪問いただきまして、誠にありがとうございます。

 

今回は経営不振など、経営上の理由によって余剰人員を解雇する「整理解雇」について、綴ります。

整理解雇が有効であるためには、次の4つの要件(「整理解雇の4要件」)が必要とされています。

1.人員削減の必要性

経営上の理由により人員整理を行う必要性があることが求められます。

多数の判例では、客観的に高度な企業の経営不振が存在し、その解消に人員整理の選択が合理的であることが必要であるとされています。

2.解雇回避の努力

  解雇を行う前には、例えば、役員報酬の削減、希望退職者の募集、配転・出向など、解雇を回避するため、相当な経営上の努力を行っていることが求められます。

3.人選の合理性

解雇するための人選の基準(労働者の能力、勤務成績、家族状況、年齢、勤続年

数など)が合理的であり、また、基準の適用に客観性及び公平性があることが求められます。

4.手続の妥当性

  使用者は信義則上、労働組合や労働者に対して、事前に、解雇の必要性、規模、時期、解雇回避努力の内容、人選の基準などの説明を行い、協議することが求められます。

 

整理解雇が有効であるためには、4要件をすべて満たすことが求められていましたが、最近、4要件を必ずしもすべて満たす必要はないとされる判例があります。

 

ご愛読ありがとうございました。

「解雇の有効性」とは   [2012.05.24]

「ウイング経営労務コラム」に、ご訪問いただきまして、誠にありがとうございます。

 

今回は、「解雇の有効性」について、綴ります。

解雇は労働者に対して重大な生活上の影響をもたらすため、使用者の解雇の自由(解雇権)に法的な制約が課されています。

解雇の有効無効については、次の二つが重要なポイントとなります。

1.解雇には、「客観的に合理性な理由があり」、「社会通念上相当である」ことが求められます。

客観的に合理性な理由の有無とは、『解雇という重いペナルティーに見合うほどの事実があったか、どうか』により判断されます。その事実は「労働者の問題(横領や無断欠勤など)」と「会社の問題(業績悪化など)」に分類され、過去の判例を根拠にしてその合理性を判断されることになります。

また、社会通念上相当であるとは、いわゆる一般人10人に解雇の是非について聞いてみたとして、8人~9人が『解雇止むなし』と考えるかどうか、により判断されます。

  上記の2つの要件を満たさない場合には、権利を濫用したものとして解雇は無効となり、その労働者との雇用関係は継続することになります。

 2.解雇が有効だったとしても、少なくとも「事前予告」をするか、「予告手当」を支払わなければなりません。

前項の要件を満たす解雇であったとしても、使用者が急な解雇をするとその労働者の生活に大きな支障を来すことになるため、天災地変等の場合を除き、30日前に予告するか、30日以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないこととなっています。

労使トラブルを防ぐためにも、解雇を考えるときには「合理性・相当性」と「予告」を、まず思い浮かべて欲しいポイントです。

 

ご愛読ありがとうございました。

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