ウイング経営労務コラム

就業規則

「労働者派遣法」の一部改正   [2012.06.19]

こんにちは。

「東京ウィング社労士事務所」の山田です。

 

労働者派遣法の一部を改正する法律が、平成24年4月6日に公布されました。

主な改正点は、次のとおりです。

なお、登録型派遣の原則禁止については、最終的には削除されました。

〇法律の名称の変更

・「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」 

改正前の下線部分は「派遣労働者の就業条件の整備」で、今回の改正で派遣労働者の保護が明確に打ち出されました。

〇事業規制の強化

日雇労働者についての労働者派遣の禁止

「日雇労働者」とは、々」または30日以内」の期間を定めて雇用する労働者をいう。

ただし、日雇派遣の禁止の例外として、専門26業務のうち、一部(ソフトウエア開発や秘書のなど)は認められます。

・グループ企業内派遣の場合には、派遣先への派遣割合は8割以下しなければなりません。

・離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることは禁止されます。

〇派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善

派遣元事業主に一定の有期雇用派遣労働者の無期雇用への転換推進措置の努力義務があります。

(派遣元事業主との雇用期間が通算して1年以上ある有期雇用の派遣労働者など)

・派遣元事業主は派遣労働者の賃金の決定に当たり、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者の賃金水準との均衡の考慮義務があります。

・派遣先は派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準、教育訓練等に関する情報を派遣事業主への提供の努力義務があります。

・派遣元事業主は派遣労働者の数、派遣先の数、マージン率(へ険料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合)などの情報公開の義務づけられます。

・派遣元事業主は派遣労働者等に対し、1日当たりの派遣料金の額等の明示義務があります。

〇違法派遣に対する迅速・的確な対処

違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだものとみなされます

処分逃れを防止するため労働者派遣事業の許可等の欠格事由が追加されました。

〇施行日

・公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日となっています。

(政令案では平成24年10月1日予定)

ただし、〝労働契約申し込みのみなし”については、施行日から起算して3年を経過した日から施行されます。

いつもご愛読ありがとうございました。

「休職期間」とは   [2012.06.05]

「ウイング経営労務コラム」に、ご訪問いただきまして、誠にありがとうございます。

 

今回は就業規則に休職期間を定めるときのポイントについて、綴ります。

休職期間とは、「私傷病など労働者の個人的事情により、在籍扱いのまま労働義務を免除する期間」をいいます。

休職は法律上必ず与えなければならないものではなく、会社の任意とされています。

つまり、「休職制度なし」としても構いません。

ただし、実際は私傷病による欠勤が長期にわたる場合、労務の提供ができなくなったから、いきなり解雇ともいえないため、「休職期間」を設けているところが大半です。

就業規則において、休職について定めるときには、次の3点が大切です。

1. 休職期間についての規定

大企業にあっては2~3年の会社も見受けられますが、中小企業の場合には、休職期間は通常1~3ヶ月程度でしょうか。

また、勤続年数によって休職期間に差を設けることもあります。

精神的疾患による休職の場合、類似傷病による休職を繰り返すケースが多く見受けられるため、その場合には通算方法や延長方法についても定義しておくことが必要です。

2.休職期間中の賃金支払有無の規定

休職期間中は労働実態がないため、ノーワークノーペイの原則により賃金支払いはなくても構いません。

大企業の場合には、休職後一定期間所得保障のため賃金支払いをすることもあります。

なお、健康保険で傷病手当金を請求することにより、最長1年6ヶ月間、1日当たり標準報酬額の3分の2相当額を休職者の所得保障とすることができます。

3.休職期間満了時の取り扱いについての規定

休職期間の終了後、どのように取り扱うか、復帰させるとしたらその判断根拠はどこにあるのか、などを定める必要があります。

中小企業では、病気による休職の場合、休職期間満了時に傷病の状態が勤務復帰に足るほど回復していない場合、退職扱いとすることが多いようです。

休職については、労働者としての地位に関わる部分であることから、十分検討したうえで、就業規則に定めることが大切です。

 

ご愛読ありがとうございました。

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