ウイング経営労務コラム

採用

「労働条件の明示事項」   [2012.09.04]

こんにちは。

『東京ウイング社労士事務所』の山田です。

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません。(労働基準法15条1項)

1.必ず明示すべき事項書面による交付による(昇給は口頭でも可。))   

1)労働契約の期間

(2)就業の場所、従事すべき業務の内容

(3)始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇及び労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項

(4)賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期、昇給

(5)退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

2.定めをした場合には明示すべき事項

(1)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期

(2)臨時に支払われる賃金、賞与及び最低賃金額に関する事項

(3)労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

(4)安全及び衛生

(5)職業訓練

(6)災害補償及び業務外の傷病扶助

(7)表彰、制裁

(8)休職

労働者は、明示された労働条件が事実と相違する場合においては、即時に労働契約を解除することができます。

また、就業のために住居を変更した労働者は、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合には、使用者は必要な旅費を負担しなければなりません。

なお、パートタイマーの場合には、上記1.の書面による明示義務に加え、

「昇給・退職手当・賞与の有無」を書面によって明示しなければなりません。

書面による明示は、労使トラブルを防止するために必要な要件となります。

最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

 

「採用時の提出書類」   [2012.08.28]

こんにちは。

『東京ウイング社労士事務所』の山田です。

採用者を決定した場合、会社は就業規則において、次の提出書類を求めることが一般的です。

1. 誓約書

労働契約を誠実に履行させることを確認するためのものです。

2. 住民票記載事項証明書

採用者の元の確認については、プライバシーへの配慮の観点から、住民票や戸籍謄本は、行政通達により不適当とされ、扶養家族の確認が必要になった時点において、本人に個別に提出を求めることとされています

3. 身元証明書

採用者本人の自覚を促すためのほか、会社に損害を与えた場合、本人に賠償能力がないときやトラブルなどに備えるためのものです。身元保証の期間については、契約期間の定めのない場合には、3年(商工業見習いは5年)となっています。上限は5年となっています。

4. 健康診断書

労働者安全衛生法に基づき、採用者の雇入れ時において、会社は労働者の健康状態を把握することは義務とされています。

5. 源泉徴収票(採用の年に給与所得がある場合)

6. 年金手帳(基礎年金番号)の写し(交付を受けている場合)

7. 雇用保険被保険者証の写し(職歴がある場合)

8. その他会社の指示する書類

最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。

「試用期間」   [2012.07.09]

こんにちは。

『東京ウイング社労士事務所』の山田です。

法律で義務づけられたものではありませんが、新しく社会人となる殆どの人に適用される「試用期間」について綴ります。

「試用期間」とは、新規採用した労働者の職務遂行能力や適格性を総合的に評価するための期間として、会社が自らの判断により定めた1ヶ月から6ヶ月間程度(3ヶ月が平均的とされる)の期間をいいます。

特別な理由もないにも関わらず、1年以上のように必要以上に長い試用期間については、公序良俗に違反し無効(民法第90条)となることもあります。

この試用期間中については、法的性格として基本的に「解約権留保付労働契約」が成立しているとされています。

試用期間中や期間満了時の解雇については、「解雇権濫用法理」が適用されることから、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」となります。(労働契約法16条)

ただし、その解釈は限定的に解されており、留保解約権に基づく解雇は、通常の解雇の場合よりも、解雇の自由の範囲は広いとされています。

本件の代表的な判例としては、三菱樹脂事件(最大判昭48.12.12)があります。 

最後までご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。

 

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