年金
「国民年金の保険料免除」 [2012.12.06]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田信孝です。
国民年金には、保険料を支払うのが困難な人のために、届出や申請をして保険料が免除される制度があります。
この制度は、自営業者、無職などの第1号被保険者にのみ適用され、加入期間として計算されるだけでなく、保険料の一部を払ったことにもなるものです。
国民年金の保険料免除には、次の種類があります。
1.法定免除
(1) 障害等級2級以上の障害年金の受給権者である。
(2) 生活保護法による生活扶助を受けている。
届出により、保険料が全額免除されます。
2.申請免除
(1) 全額免除
前年所得が、(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円以下である。
(2) 4分の3免除
前年所得が、78万円+扶養親族等の数×38万円以下である。
(3) 半額免除
前年所得が、118万円+扶養親族等の数×38万円以下である。
(4) 4分の1免除
前年所得が、158万円+扶養親族等の数×38万円以下である。
なお、次の場合にも上記(1)~(4)に該当します。
①生活保護法の生活扶助以外の扶助を受けている。
②障害者または寡婦で、前年の所得が125万円以下である。
③天災等で保険料の納付が著しく困難な事由である場合に該当する。
申請して認められることにより、保険料の全額または一部を免除されます。
※年金額は
・全額免除の場合、平成21年4月分からの保険料の全額が免除された期間については、保険料を全額納付した場合の年金額の2分の1(同年3月分までは3分の1)が支給されます。
・4分の1納付の場合、平成21年4月分からは年金額5/8(同年3月分までは1/2)
・半額納付の場合、平成21年4月分からは年金額6/8(同年3月分までは2/3)
・4分の3納付の場合、平成21年4月分からは年金額7/8(同年3月分までは5/6)
その他にも、学生納付特例や若年者納付猶予制度などの免除があります。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
「国民年金の後納」 [2012.10.03]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田です。
国民年金保険料の納め忘れの時効は2年間ですが、今般、特例として平成24年10月1日から平成27年9月30日までの3年間に限り、過去10年間に延長し、2年間の時効により納めることができなかった保険料を納付することができるようになりました。
国民年金保険料の納付率は、非正規雇用の増大等の影響により、平成23年度については58・6%で、過去最低を更新しています。
若者を中心に、納付義務があるにもかかわらず、目先の生活に追われ、また、将来の年金の給付状況が不透明で予測することができないことから、滞納するに至っているケースが多くあるのではないか、と思います。
しかし、個人な意見としては、先が読めない時代であるからこそ、自己防衛として将来に備えるために、生活をやり繰りしてでも国民年金保険料を納めておくことが必要ではないか、と思います。
また、平成27年10月から、国民年金の支給要件が、原則25年(納付済期間と免除期間等の合計期間)から、10年に短縮されることも、国民年金を納付していくうえで、重要な事項であると思います。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
「在職老齢年金」 [2012.09.20]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田です。
平成25年4月1日から報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金が61歳となることから、雇用の継続を希望する労働者が増えると思われます。
そこで、幾らの賃金ならば、年金が減額されることになるでしょうか?
在職老齢年金には、① 65歳未満の在職老齢年金(「低在老」)、② 65歳以上の在職老齢年金(「高在老」)があります。
1.65歳未満の在職老齢年金(「低在老」)
「総報酬月額相当額」(ア):(標準報酬月額+1年間の標準報酬賞与額/12)
「基本月額」(イ) :(老齢厚生年金から加給年金額を控除した年金額/12)
① 28万円 ≧ 「総報酬月額相当額」(ア)+「基本月額」(イ)
支給停止 → 行われない
② 「基本月額」(イ) ≦ 28万円、かつ 「総報酬月額相当額」(ア) ≦ 46万円
支給停止 → (「総報酬月額相当額」(ア)+「基本月額」(イ)-28万円)×1/2
③ 「基本月額」(イ) ≦ 28万円、かつ 「総報酬月額相当額」(ア) > 46万円
支給停止 → (46万円+「基本月額」(イ)-28万円)×1/2+「総報酬月額相当額」(ア)
- 46万円
④ 「基本月額」(イ) > 28万円、かつ 「総報酬月額相当額」(ア) ≦ 46万円
支給停止 → 「総報酬月額相当額」(ア)×1/2
⑤ 「基本月額」(イ) > 28万円、かつ 「総報酬月額相当額」(ア) > 46万円
支給停止 → 46万円×1/2 + 「総報酬月額相当額」(ア) - 46万円
2.65歳以上の在職老齢年金(「高在老」)
「総報酬月額相当額」(ア):(標準報酬月額+1年間の標準報酬賞与額/12)
「基本月額」(イ) :(老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額/12)
① 「総報酬月額相当額」(ア)+「基本月額」(イ) ≦ 46万円
支給停止 → 行われない
② 「総報酬月額相当額」(ア)+「基本月額」(イ) > 46万円
支給停止 → その超えた額の1/2相当額
③ (「総報酬月額相当額」(ア)+「基本月額」(イ)-46万円)×1/2≧ 「基本月額」(イ)
支給停止 → 全額(報酬比例部分)停止 (ただし、繰り下げ加算額及び経過的加算額を除く。)
ただし、年金の支給停止は老齢厚生年金に限られるものであり、老齢基礎年金は全額が支給されます。
以上を念頭に置きながら、働くことも一考ではないかと思われます。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
「マクロ経済スライド」とは [2012.07.29]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田です。
「マクロ経済スライド」とは、平成17年4月から導入され、物価変動のほか、年金の「被保険者の減少」や「平均余命の伸び」を考慮して年金の給付金額を変動させる制度をいいます。
言い換えれば、持続可能な年金制度とするために、年金給付を抑制するための制度です。
しかし、平成12年度から14年度における年金額の引き下げを特例措置として行わなかった1.7%を含め、2.5%分が解消されるまでは、「物価スライド特例」が適用されているため、未だに「マクロ経済スライド」は発動されていません。
「マクロ経済スライド」が適用される場合には、「スライド調整率」の見込み率は「0.9%」となります。
内訳としては「被保険者の減少」の見込率は「0.6%」 、「平均余命の伸び」の見込率は「0.3%」です。
つまり、
① 物価(賃金)の上昇率が、0.9%を超える場合には、年金の上昇率は
→ 「〇%-0.9%」 例:1.5%の場合 → 0.6%
② 物価(賃金)の上昇率が、0%から0.9%の場合には、年金の上昇率は
→ 「据え置き」
③ 物価(賃金)の上昇率が、マイナスの場合には、年金の上昇率は
→ 「マイナス〇%」 例:マイナス0.3%の場合 → マイナス0.3%
となり、年金額は抑制されることになります。
2011年の日本人の平均寿命は女性85.90歳、男性79.44歳で、前年比で女性は0.40歳、男性は0.11歳、前年より縮んではいますが、ますます65歳以上の人口の割合が増え続けていくことが予想されているため、公的年金にだけに頼らない資金作りをあらかじめ計画しておくことが、老後のためには必要になると思われます。
最後までご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。
「年金の引き下げ」 [2012.06.07]
「ウイング経営労務コラム」に、ご訪問いただきまして、誠にありがとうございます。
今回は年金額の引き下げについて、お知らせいたします。
平成24年6月に支払われる年金額から0.3%引き下げられます。
これは平成23年の全国消費者物価指数が前年の全国消費者物価指数に比較して 0.3%下回ったことに伴うものです。
現行の年金額は、過去、物価下落時に年金額を据え置いたことで、「物価スライド特例措置」による年金額となっており、本来の年金額より、高くなっています。
この年金額の特例水準は、現在、2.5%となっていますが、平成24年11月16日、国民年金法等の一部改正法案が成立したことにより、平成25年10月から平成27年4月までの間で解消することになりました。具体的には、年金の引下げは当初の予定より1年遅れて、平成25年10月1日▲1%、平成26年4月▲1%、平成27年4月▲0.5%と、段階的に引下げられます。
|
平成24年度(月額) |
平成23年度(月額) |
国民年金 (老齢基礎年金満額) |
65,541円(▲200円)
|
65,741円 |
厚生年金 (標準的な年金額) |
230,940円(▲708円) |
231,648円 |
「物価スライド特例措置」の2.5%が解消されると、平成16年の年金改正で導入された「マクロ経済スライド」による調整が開始されることになります。
「マクロ経済スライド」については、改めてお知らせいたします。
いつもご愛読ありがとうございました。
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