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業務上の事故の「使用者責任」 [2012.07.15]
こんにちは。
『東京ウィング社労士事務所』の山田です。
今年4月、高速ツアーバスが運転者の居眠りにより、関越自動車道で事故を起こし、7人死亡、38人が重軽傷を負ったことは記憶に新しい痛ましい出来事です。
事故を起こしたバス事業者は日々雇用者の運転者への選任など、驚くことに28件の法令違反行為の事実がありました。結果として、市場から「一発退場」。事業許可が取消れました。
今も法令違反行為の常態化が囁かれておりますが、今回の事故を契機として、今後より一層の法令遵守が徹底されることが望まれているところです。
さて、今回の事故を参考に、業務上の事故の「使用者責任」について考えてみましょう。
「使用者責任」は、民法で規定されています。
第715条(使用者等の責任)
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
つまり、仕事をしていて第三者に損害を与えた場合には、会社には損害賠償責任があるということになります。
ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、会社には損害賠償責任はありません。
これは、会社が相当の注意をしていたのに起きてしまった事故の場合は、その範囲において会社は賠償責任を負わなくともよい、ということです。言い方を変えれば「会社が相当の注意をしていた」と立証できない限りは、会社の責任はあるということになります。
「使用者責任」の具体例としては、次のケースがあります。
・残業や休日出勤により疲労の蓄積が認められる状態で交通事故を起こした場合
・発作を伴う病気を持った労働者であると知りながら業務上車の運転をさせ事故を起こした場合
なお、事故を起こした本人の責任としては、会社がその損害賠償金を支払った場合には会社は本人に対して求償することができます。しかし、この求償の場合にも、労働条件や事故防止策について会社の不備がある場合には制限がかかります。
会社は大きな社会的責任を担っていることから、法令遵守の徹底を図るほか、労働者の健康管理などにに対し、あらかじめ必要な措置を講じておくことが求められます。
最後までご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。
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税務・会計の情報誌「Profession Journal」に、平成25年8月、高速ツアーバスが廃止され、新高速乗合バスへの移行・一本化したことに関連する記事(3回シリーズ)を執筆しました。
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