その他
「管理監督者性の判断基準」 [2012.09.26]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田です。
管理監督者は「労働時間」、「休憩」及び「休日」の規定については、適用除外とされています。(労働基準法41条2号)
つまり、管理監督者は、経営者と一体な立場にある者であって、「労働時間」、「休憩」及び「休日」に関する規制の枠を超えて活動することが求められており、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制に馴染まない立場にある者に限定されているからです。
しかし、名ばかり管理職のように、実質的に裁量や権限がないにもかかわらず、管理監督者とされている実態があります。
そこで、「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者」については、通達において管理監督者性を否定する判断基準が示されています。
そのうち、管理監督者性を否定する重要な要素としては、次のとおりです。
1.職務内容、責任と権限
・アルバイト、パート等の採用について、責任と権限がない。
・アルバイト、パート等の解雇について、職務内容に含まれておらず、実質的にも関与
していない。
・部下の人事考課について、職務内容に含まれておらず、実質的にも関与していない。
・勤務割表の作成、所定時間外労働の命令について、責任と権限がない。
2.勤務態様
・遅刻、早退等により、減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる。
3.賃金等の待遇
・時間単価に換算した賃金額が、アルバイト、パート等の賃金額に満たない。
・時間単価に換算した賃金額が、最低賃金額に満たない。
管理監督者の賃金については、その地位に相応しい処遇が求められます。
職制上の役付者であれば、すべてが管理監督者として例外的取扱いが認められるものではなく、また、管理監督者性を否定する要素をすべて満たしたとしても、必ず管理監督者に該当する訳ではありません。
職務の内容、責任と権限、勤務態様及び賃金等の待遇の実態に即して、管理監督者性が判断されることになります。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
「産業医」 [2012.09.01]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田です。
常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について一定の要件を有する医師の中から、「産業医」を選任しなければならないことになっています。
「産業医」の職務は次のとおりです。
1.労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができます。
2.総括安全衛生管理者に対して勧告し、または衛生管理者に対して指導し、若しくは助言することができます。
3.少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。
4.労働者の健康管理などを行うことになっています。
(1)健康診断及び面接指導等の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
(2)作業環境の維持管理に関すること。
(3)作業の管理に関すること。
(4)労働者の健康管理に関すること。
(5)健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
(6)衛生教育に関すること。
(7)労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。
なお、「産業医」は、事業場の規模(常時使用する労働者数)に応じて、選任することになっています。
1. 50人以上3,000人以下 ・・・・・・・・ 1人
2. 3,001人以上 ・・・・・・・・・・・・・・ 2人
また、専属として、産業医を選任しなければならない事業場としては、次のとおりです。
1. 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
2. 坑内労働、深夜業などの有害業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場
現在、医師(保健師)による労働者の精神的健康の状況を把握するための検査を事業者に義務付けることが検討されており、「産業医」の役割がますます高まりそうです。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
「改正高年齢者雇用安定法」 [2012.08.30]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田です。
8月29日、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)の一部を改正する法律案」が成立し、来年4月から厚生年金の報酬比例部分の受給開始年齢が61歳に引き上げられるのに合わせ、平成25年4月1日から施行されることになりました。
「改正高年齢者雇用安定法」は、60歳定年の労働者の希望者全員を企業に雇用することを義務付けるものです。
現行では、継続雇用制度の対象となる高年齢者については、事業主が労使協定により定める基準により限定できる仕組みとなっていますが、この仕組みが廃止されます。
今後、勤務態度や健康状態が著しく悪い労働者をその対象から外す、指針について、労働政策審議会で議論されることになっています。
雇用機会の増大の目標の対象となる高年齢者は、厚生年金の報酬比例部分の受給開始年齢の引き上げに連動させ、平成36年4月までに65歳以上の者にまで拡大されることになっています。
会社では人件費の負担が増加し、また、若年者の雇用抑制への懸念が、取沙汰されているところです。
私は今後とも少子高齢化が急速に進展するとともに、人口減少に歯止めがかからず、必然的に「生産年齢人口」が減少していく状況をみれば、どしどし高齢者(女性、障害者など)を活用すべきだと思います。
平均余命が伸びており、元気な高齢者が多いことから、会社が高齢者の働ける職場づくりを検討すべきと考えます。
極論ですが、高齢者の給与は65歳から支給される年金額(厚生年金+国民年金)程度で、よいのではないか、と思います。
高齢者は継続雇用していくが、高齢者の給与を大幅に抑制することにより、若年者の雇用を促進していくことが大切だと思います。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
「健康診断」 [2012.08.26]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田です。
労働安全衛生法では、事業者に対して、労働者の健康診断の実施を義務付けています。(第66条 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。)
1. 雇入れ時の健康診断
2. 年1回の定期健康診断
なお、深夜業など有害な業務の従事者に対しては、年2回の健康診断の実施が定められています。
事業者が健康診断を実施しない場合には、罰金(50万円以下)が課せられます。
一方、労働者は、事業者が指定した医師(歯科医師)が行う健康診断を受けることを希望しない場合には、他の医師(歯科医師)の健康診断を受け、その結果を証明する書面を提出することに代えることができます。
なお、労働者が全く健康診断を受けない場合には、罰則の適用はありませんが、就業規則上、これを懲戒事由として定め、懲戒処分の対象とすることは可能です。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
専門誌「SR」への記事掲載 [2012.08.09]
日本法令様発行の社会保険労務士専門誌「SR」(第27号)に記事が掲載されました。
今年4月29日、関越道で起きた高速ツアーバス事故を踏まえ、「バス事業にかかる法規制・改正の内容と今後の動向」と題し、極めて少ない国土交通省出身の特定社会保険労務士として、執筆させていただきました。
残念なことに、7月20日から交替運転者の新配置基準が、施行されたばかりであるにもかかわらず、8月2日、魔の時間帯とされる午前4時過ぎ、東北道において、再び居眠り運転による事故が起きました。
実車距離は、400kmを超えてませんが、乗務時間は10時間を超え、11時間30分なので、通達上、交替運転者は必要となりますが、同乗させていませんでした。
いかに通達を一部改正しても、遵守されなければ、安心して、高速バスに乗ることはできません。
行政による監査、業界による自主監査及び利用者からの情報だけに頼るには限界があると思います。
大手以外の一定規模以下の事業者には、例えば建設業などのように許可の有効期限を設けて、定期的にチェックすることを検討する必要があると考えます。
また、安全等の必要経費を利用者に求める仕組みづくりも必要ではないかと考えます。
何れにせよ、一刻も早い、安心・安全な高速バスの旅の実現が求められています。
業務上の事故の「使用者責任」 [2012.07.15]
こんにちは。
『東京ウィング社労士事務所』の山田です。
今年4月、高速ツアーバスが運転者の居眠りにより、関越自動車道で事故を起こし、7人死亡、38人が重軽傷を負ったことは記憶に新しい痛ましい出来事です。
事故を起こしたバス事業者は日々雇用者の運転者への選任など、驚くことに28件の法令違反行為の事実がありました。結果として、市場から「一発退場」。事業許可が取消れました。
今も法令違反行為の常態化が囁かれておりますが、今回の事故を契機として、今後より一層の法令遵守が徹底されることが望まれているところです。
さて、今回の事故を参考に、業務上の事故の「使用者責任」について考えてみましょう。
「使用者責任」は、民法で規定されています。
第715条(使用者等の責任)
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
つまり、仕事をしていて第三者に損害を与えた場合には、会社には損害賠償責任があるということになります。
ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、会社には損害賠償責任はありません。
これは、会社が相当の注意をしていたのに起きてしまった事故の場合は、その範囲において会社は賠償責任を負わなくともよい、ということです。言い方を変えれば「会社が相当の注意をしていた」と立証できない限りは、会社の責任はあるということになります。
「使用者責任」の具体例としては、次のケースがあります。
・残業や休日出勤により疲労の蓄積が認められる状態で交通事故を起こした場合
・発作を伴う病気を持った労働者であると知りながら業務上車の運転をさせ事故を起こした場合
なお、事故を起こした本人の責任としては、会社がその損害賠償金を支払った場合には会社は本人に対して求償することができます。しかし、この求償の場合にも、労働条件や事故防止策について会社の不備がある場合には制限がかかります。
会社は大きな社会的責任を担っていることから、法令遵守の徹底を図るほか、労働者の健康管理などにに対し、あらかじめ必要な措置を講じておくことが求められます。
最後までご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。
ES(従業員満足) [2012.07.13]
こんにちは。
『東京ウィング社労士事務所』の山田です。
今回はES(Employee Satisfaction 従業員満足)について、考えてみます。
会社経営では、いかにコストを抑え、収益を上げることができるかが命題となっています。デフレ経済下にあっては、人件費がその削減対象となっています。
終身雇用制度が崩れ、正社員から非正規雇用へと移行しつつあり、雇用の流動化が加速しています。まさに40歳定年制が議論されようとしております。
一方、労働者にあっても、組織、会社に対し、以前のような愛着心がなくなったようにも思えます。
退社後、直ちに未払残業代を請求することなどはその一例ではないでしょうか。
目標管理に基づいた実績評価だけでは、会社と社員との溝は埋まることはなく、溝がますます深くなると思います。
会社は利益を追求するだけでなく、社会に与える影響に責任を持つことが必要であり、そのことを経営者が経営理念として掲げ、ビジョンを明らかにすることが大切であると考えます。
地域への貢献、地球環境への取組み、法令遵守の徹底など、会社の収益に繋がりそうにないと思われることを実践することにより、社会に貢献する会社のイメージが定着し、社員の仕事に対するモチベーションが高まると考えます。
社員の会社に対する満足度を高めることにより、会社の業績向上に繋げることこそが、ES経営の目的と言えます。
賃金・賞与などの金銭的な報酬だけではなく、目に見えないものに価値を追い求めて働くことこそが、真の人間としての姿といえるのではないでしょうか。
岐阜県にある未来工業では、創業以来46年間赤字がなく、残業は一切禁止、定年は70歳、年間の休暇は有給休暇を除いても140日。しかも全員が正社員です。
会社も元気、社員も元気。そのような会社が日本に増えることを期待しています。
また、当事務所でもお手伝いできれば幸いと考えております。
最後までご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。
平成25年4月から障害者の「法定雇用率」が引き上げ [2012.06.23]
こんにちは。
『東京ウィング社労士事務所』の山田です。
障害者の「法定雇用率」が平成25年4月1日から引き上げられます。
すべての事業主は、一定の割合以上で障害者を雇用するよう、法律で義務づけられています。
その割合は、民間企業、公的機関ごとに「法定雇用率」として定められていますが、平成25年4月1日から、次のとおり引上げられます。
・民間企業 1.8% → 2.0%
・国、地方公共団体等 2.1% → 2.3%
・都道府県等の教育委員会 2.0% → 2.2%
障害者の「法定雇用率」の引き上げに伴い、民間企業では、現在「従業員56人以上」の事業主は、障害者を1人以上雇用しなければなりませんが、平成25年4月1日から「従業員50人以上」の事業主が1人以上雇用しなければならないことになります。
現 在 :56人×1.8%=1.008人(端数切捨てで1人)
平成25年4月1日以降:50人×2.0%=1人
対象となる事業主には、
① 毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークへの報告義務
② 「障害者雇用推進者」を選任する努力義務が生じます。
また、常時雇用する従業員が200名を超える場合、「法定雇用率」の達成状況に応じ、障害者雇用納付金が徴収され、或いは障害者雇用調整金が支給される制度が設けられています。
① 障害者の「法定雇用率」が未達成の場合
・1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金の納付義務が生じます。
(従業員数が200人を超え、300人以下の事業主は、平成22年7月から平成27年年6月までは 40,000円の減額となります。)
② 障害者の「法令雇用率」を超えて雇用した場合
・超えて雇用した障害者数に応じて、1人につき月額27,000円の障害者雇用調整金が支給されます。
従業員が50人以上55人までの事業主の皆さまは、特にご留意されてください。
最後までご愛読していただきまして、ありがとうございます。
ホームページの開設のご挨拶 [2012.05.19]
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