運送業
Gマークの新規申請が過去最少(運送業WINNG通信) [2013.07.30]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田信孝です。
平成25年度の「Gマーク」(貨物自動車運送事業安全性評価事業)の申請受理件数が、公益社団法人全日本トラック協会(全国貨物自動車運送適正化事業実施機関)から公表されました。
新規申請は過去で最も少ない1,924事業所(前年比▲296)、更新申請は4,058事業所(前年比▲1,840)の、合計5.982事業所(前年比▲2,136)となっています。
全国におけるGマーク認定事業所数は、平成25年3月末現在、18,107事業所(全事業所の21.6%)ですが、新規申請は2年連続の減少となっています。
申請手数料が無料であるにもかかわらず、新規申請が伸び悩んでいる理由として、Gマーク制度がスタートして11年目となりますが、取得を希望していた企業は大凡認定を終えたことや依然として、Gマーク認定のインセンティブの享受が少ないと感じている企業が多いことが考えられます。
また、Gマークの認定の条件として、従業員は全て社会保険に加入することが求められていますが、未だ一部の従業員が加入していない企業の実態があります。
今後、荷主がGマーク認定事業所を選定した場合に、例えば荷主に税法上の特典を設定するなど、関係省庁が連携して、荷主にもインセンティブを与えるなど、実効性のあるインセンティブを検討することを期待します。
国を挙げて、Gマークの認定運送事業者が積極的に取り組んでいる安全性が、幅広く社会から正当に評価され、未認定事業者との差別化が図られることが望まれます。
詳細については公益社団法人全日本トラック協会のHPをご参照ください。
http://www.jta.or.jp/gmark/pdf/release201307_s.pdf
なお、Gマーク認定に係る全国貨物自動車運送適正化事業実施機関による巡回指導は、本年8月から10月までの間に実施されます。
評価対象期間は平成24年12月1日から本年10月31日までです。
巡回指導は、次の掲げる「安全性に対する法令遵守状況」について、採点されます。なお、巡回指導後の改善については、加点されないことになっています。
Ⅰ.事業計画等 |
1.乗務員の休憩・睡眠施設の保守、管理は適正か。(1点) |
Ⅱ.帳票類の整備、報告等 |
1.事故記録が適正に記録され、保存されているか。(1点) |
2.運転者台帳が適正に記入等され、保存されているか。(1点) |
3.車両台帳が整備され、適正に記入等されているか。(1点) |
Ⅲ.運行管理等 |
1.運行管理規程が定められているか。(1点) |
2.運行管理者に所定の研修を受けさせているか。(1点) |
3.事業計画に従い、必要な員数の運転者を確保しているか。(1点) |
4.過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これを基に乗務割が作成され、休憩時間、睡眠のための時間が適正に管理されているか。(3点) |
5.過積載による運送を行っていないか。(3点) |
6.点呼の実施及びその記録、保存は適正か。(3点) |
7.乗務等の記録(運転日報)の作成、保存は適正か。(3点) |
9.運行指示書の作成、指示、携行、保存は適正か。(1点) |
10.乗務員に対する輸送の安全確保に必要な指導監督を行っているか。(3点) |
11.特定の運転者に対して、特別な指導を行っているか。(1点) |
12.特定の運転者に対して、適性診断を受けさせているか。(2点) |
Ⅳ.車両管理等 |
1.整備管理規程が定められているか。(1点) |
2.整備管理者に所定の研修を受けさせているか。(1点) |
3.日常点検基準を作成し、これに基づき点検を適正に行っているか (1点) |
4.定期点検基準を作成し、これに基づき、適正に点検・整備を行い、点検整備記録簿等が保存されているか。(3点) |
Ⅴ.労基法等 |
1.就業規則が制定され、届出されているか。(1点) |
2.36協定が締結され、届出されているか。(1点) |
3.労働時間、休日労働について、違法性はないか。(1点) |
4.所要の健康診断を実施し、その記録、保存が適正にされているか。(1点) |
合 計 (24項目) 36点満点 |
「安全性に対する法令遵守状況」は、既に提出済の「運輸安全マネジメント」(3点)を加えた40点のうち、32点を確保する必要があります。
今後、公益社団法人全日本トラック協会において、巡回指導と申請書類の審査の結果を点数化した後、安全性評価委員会の諮問・答申を経て、評価が決定され、本年12月末に『安全性優良事業所』が認定される予定です。
なお、幣事務所として、申請のサポートをさせていただいた企業様に認定通知が、クリスマスプレゼントとして届くように、当面、巡回指導に万全を期します。
最後まで、お読みいただきまして、ありがとうございます。
「運輸局への改善報告」(運送業WING通信) [2013.06.23]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田信孝です。
「運輸安全コンサルタント」として、国土交通省(運輸局)の行政処分を受けた運送事業者に対し、国土交通省(運輸局)への改善報告に関する指導、助言の業務に携わっています。
国土交通省(運輸局)から行政処分を受け、昨年末から幣事務所において、関与していました、トラック事業者に対する一連の監査(運輸局の確認監査及び貨物自動車適正化実施機関による特別巡回)が、先般、特段の指摘を受けることなく、終了することができました。
当該事業者への行政処分は、通常の処分と異なり、事業許可の取消し寸前の厳しいものであったため、数多くの改善すべき事項があり、改善のための道程は苦難を極めました。
しかし、社長の安全及び法令遵守に対する重視の意識転換があったことから、ひとつずつ改善した結果、事業許可の取消しという、最悪のシナリオを脱することができました。
今後とも、現在の安全及び法令遵守の状況を継続していくが大切であり、引き続きお手伝いをさせていただきたいと思っております。
また、幣事務所では、トラック運送事業者の安全・安心・信頼のマークである、「Gマーク」(安全性優良事業所認定)」の取得に向け、7月の申請に向け、手続き準備中であります。
更に、6月からは、公益社団法人「日本バス協会」の一員として、適正化コンサルティング業務にも携わっております。
平成26年には「SAFETY BUS」(セーフティバス):(貸切バス事業者安全性評価認定)の取得申請のお手伝いもさせていただきたいと思っております。
「運輸安全コンサルタント」は、「安全」をキーワードに、社会保険労務士、行政書士としての資格を有効に活用できる業務であるとともに、国土交通省(運輸局)OBとして、交通運輸行政への貢献にも繋がる業務であることから、今後とも、運送業の発展及び運送業の経営者の皆様のお役に立てるよう、邁進していきたいと思っております。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
「安全性優良事業所の認定(Gマーク)」(運送業WING通信) [2013.05.15]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田信孝です。
トラックの安全輸送を第三者機関が認定する「貨物自動車運送事業安全性評価事業」について、ご紹介いたします。
1.事業の目的
平成15年7月から「安全性優良事業所」(Gマーク)認定制度として、毎年、トラック事業者の安全性を正当に評価し、認定することにより、利用者がより安全性の高い事業者を選びやすくするためのものです。
2.評価項目と配点
(1)安全性に対する法令の遵守状況(40点満点)
①事業計画等(1項目、1点)
②帳簿類の整備、報告等(3項目、3点)
③運行管理等(12項目、23点)
④車両管理等(4項目、6点)
⑤労基法等(4項目、4点)
⑥運輸安全マネジメントの取組状況(3点)
※①~⑤は、適正事業実施機関による巡回指導時(平成24年12月1日~平成25年10月31日)に評価
(2)事故、違反の状況(40点満点)
①事故の実績(20点)
平成22年12月1日~平成25年11月30日までの3年間に、有責の第一当事者となる自動車事故報告規則第2条各号に定める事故の有無(事故の実績がない場合は20点)
②違反(行政処分)の実績(20点)
平成25年11月30日において、貨物自動車運送事業法に基づく行政処分の点数の有無(累積点数が20点を超える場合は0点、20点以下の場合は(20点-累積点数)を加点)
(3)安全性に対する取組の積極性(20点満点)
①事故防止対策マニュアル等の活用(2点)
②事業所内での安全対策会議の定期的な実施(3点)
③荷主企業、協力会社または下請会社との安全対策会議の定期的な実施(2点)
④自社内独自の運転者研修の実施(3点)
⑤外部の研修機関、研修会への運転者等の派遣(2点)
⑥特定の運転者以外に対する適性診断(一般診断)の計画的な受診(2点)
⑦安全運行に繋がる省エネ運転の実施、その結果に基づく個別教育の実施(1点)
⑧運転記録証明書を定期的に取り寄せ、事故等を把握し、個別指導に活用(2点)
⑨グリーン経営認証、ISO(9001、14001など)等の取得(1点)
⑩行政機関、外部機関、トラック協会から輸送の安全に関する表彰の受賞(1点)
⑪その他輸送の安全に関する自主的、積極的、独創的、先進的な取組み(1点)
3.認定要件
(1)評価項目の評価点数の合計が80点以上
(2)下記の基準点を満たしている
①安全性に対する法令の遵守状況(40点満点のうち、32点以上)
②事故、違反の状況(40点満点のうち、21点以上)
③安全性に対する取組の積極性(20点満点のうち、12点以上)
(3)法に基づく認可申請、届出、報告が適正
(4)社会保険、労働保険への加入が適正
4.評価の認定
全日本トラック協会が評価基準に基づき点数化し、第三者機関である「安全性評価委員会」への諮問・答申を経て認定される。
5.有効期間
新規認定は2年間(平成26年1月1日~平成27年12月31日)ですが、初回更新は3年間、2回目更新は4年間となっています。
6.「安全性優良事業所」(Gマーク)のインセンティブ
(1)違反点数の消滅
原則、行政処分の日から3年間で違反点数は消滅しますが、Gマークの取得により、2年間で違反点数が消滅します。
(2)IT点呼の導入
対面点呼の代替措置として、国土交通大臣が定める設置型または携帯型のカメラを有する機器による営業所間、車庫間での点呼が可能となります。
(3)点呼の優遇
2地点間を定時運行する場合、他の営業所における点呼や同一敷地内に所在するグループ企業間における点呼が認められます。
(4)補助条件の緩和
CNGトラック等の新車導入の補助について、最低台数の要件が1台(本来は3台)に緩和されます。
(5)全日本トラック協会による助成の優遇
①ドライバー等安全教育訓練促進助成制度に係る特別研修の受講料(全額助成)
②安全装置等導入促進助成事業に係るIT点呼用の携帯型アルコール検知器(1台1万円の助成)
③経営診断受診促進助成事業に係る診断助成金(10万円)
(6)損保会社の保険料の割引
例えば、あいおいニッセイ同和損保会社の「運送業総合保険」では、「安全性優良事業所」認定により、保険料が10%の割引となります。
なお、今年の申請期間は、平成25年7月1日(月)~12日(金)となっております。
Gマークの申請をご検討されている事業者様はお気軽に当事務所にお問い合わせください。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
「運行管理者選任の義務付け」・「国への速報」(運送業WING通信) [2013.04.18]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の“運送業のお役立ち社労士”の山田信孝です。
国土交通省は、昨年12月の「トラック産業の将来ビジョンに関する検討会」において提言されていた、「5両未満の保有車両で事業を運営する者への運行管理者選任の義務付け」及び「適正化事業実施機関の事業者への指導業務の実効性の確保」について、平成25年3月29日付けで、次のとおり省令改正等を発出しています。
1.「5両未満の保有車両で事業を運営する者への運行管理者選任の義務付け」
貨物自動車運送事業輸送安全規則が改正され、施行日(平成25年5月1日)から、全ての営業所に、運行管理者を1名以上選任することが義務付けられます。
ただし、5両未満の事業用自動車の運行を管理する営業所であって、①専ら霊きゅう自動車の運行を管理する営業所、②専ら一般廃棄物の収集のために使用される自動車等の運行を管理する営業所、③一般的に需要の少ないと認められる島しょに存する営業所等、地方運輸局長が当該事業用自動車の種別、地理的条件その他の事情を勘案して当該事業用自動車の運行の安全の確保に支障を生ずるおそれがないと認めるものについては、対象外となります。
なお、経過措置として、省令の公布(平成25年3月29日)時、現に5両割れ事業者であった者については、平成26年4月30日までの間は、営業所ごとの保有車両台数が5両未満であっても運行管理者の選任が猶予されています。
2.適正化事業実施機関からの悪質性の高い営業所に係る国への速報等の設定
事業者の改善の徹底を図り、指導業務の実効性を確保するため、巡回指導を行う「適正化事業実施機関」(都道府県トラック協会)から、運輸支局への通報、定期報告事案の整理及び定例会議の設置と相談体制を強化されることになりました。
(施行日は平成25年10月1日)
(1)速報事案の設定
~「適正化事業実施機関」から運輸支局への速報~
①点呼を全く実施していないと疑われる営業所
②運行管理者又は整備管理者が全く存在していないと疑われる営業所
③定期点検(3月点検・12月点検)を全く実施していないと疑われる営業所
(2)定期報告事案の整理
~「適正化事業実施機関」から運輸支局への定期的(概ね1ヶ月ごと)に報告~
①巡回指導における評価が「大変悪い」(E評価)営業所で、指導に対し、3ヶ月以内に改善措置を講じないもの
②巡回指導を拒否する営業所
③社会保険・労働保険に加入していない(一部未加入を含む。)営業所
(3)定例会議の設置と相談体制の強化
~運輸支局と「適正化事業実施機関」との定例会議における個別相談~
①悪質であるが構成要件該当性の判断が困難な違反が疑われる営業所(違法性が明白な場合は即時に相談)
②記録簿の改ざんが疑われる営業所(改ざん行為が明白な場合は即時に相談)
③巡回指導における評価が「悪い」(D評価)営業所で、指導に対し、3ヶ月以内に改善措置を講じないもの
(関東運輸局ホームページ参照)
http://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/topics/date/1306/k2_t130604.pdf
最後まで、お読みいただきまして誠にありがとうございました。
「新高速乗合バス」の交替運転者の配置基準(案) [2013.02.17]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の“運送業のお役立ち社労士”山田信孝です。
平成25年7月末、現在の「高速ツアーバス」と「高速乗合バス」の移行予定の「新高速乗合バス」における交替運転者の配置基準(案)が、2月12日、「高速ツアーバス等の過労運転防止のための検討会」において議論されました。
Ⅰ.夜間ワンマン運行
(1)1運行の実車距離
原則400kmまでとし、次の①または②の要件を具備する場合に限り、500kmまでとする。
①運行前の休息時間が11時間以上
②運行途中に車内の適切な仮眠施設(床下仮眠施設など)で、連続1時間以上の仮眠休憩を確保
(2)1日の運転時間
原則9時間までとする。
(自社運行に限り、週3回までは9時間を超えることができる。)
(3)高速道における連続運転時間
運行計画上、概ね2時間までとする。
(4)連続運行
連続乗務回数は4回(2往復)までとする。
(1運行の実車距離が400kmを超える場合には、2回(1往復)まで)
(5)運行途中の休憩
運転時間4時間ごとに30分以上の休憩を確保する。
(実車距離が400kmを超える場合には40分以上)
(6)個別の特認(自社運行に限る。)
路線ごとに個別審査により、実車距離が500kmを超えることができる(週2回まで)
Ⅱ.昼間ワンマン運行
(1)1運行の実車距離
原則500kmまでとし、次の①または②の要件を具備する場合に限り、600kmまでとする。
①運行前の休息時間が11時間以上
②運行途中に車内の適切な仮眠施設(床下仮眠施設など)で、連続1時間以上の仮眠休憩を確保
(2)1日の運転時間
原則9時間までとする。
(自社運行に限り、週3回までは9時間を超えることができる。)
(3)高速道における連続運転時間
運行計画上、概ね2時間までとする。
Ⅲ.体調の報告の義務付け
夜間ワンマン運行において、実車距離が400kmを超える場合及び昼間ワンマン運行において、実 車距離が500kmを超える場合には、運転者は乗務の途中において電話により体調の報告を行う。
Ⅳ.デジタコ(デジタル式運行記録計)による運行管理
実車距離が400kmを超える夜間ワンマン運行または実車距離が500kmを超える昼間ワンマン運行の場合には、デジタコ(デジタル式運行記録計)による運行管理を行う。
Ⅴ.遠隔地点呼の強化
始業・終業の点呼を遠隔地で行う場合には、共同運行事業者の運行管理者などの立会いにより、酒気帯び及び体調把握等を行う。
Ⅵ.運行管理体制
運行管理者は運行中は、原則営業所で業務を行うが、不在とする場合には、あらかじめ定めた場所で運行管理を行うことができる。
配置基準(案)は、今後パブリックコメント及び所要に改正を経て、正式に決定されることになります。
昨年4月の関越自動車道における高速ツアーバス事故を踏まえ、昨年7月20日から施行されている「夜間の高速ツアーバス」の配置基準では、1日の乗務時間(出庫から入庫まで)10時間の縛りがありますが、今回の配置基準(案)では乗務時間ではなく、運転時間9時間(自社運行に限り、週3回までは9時間超え、可)となっており、運転者の拘束時間が少し増えるものとなっています。
なお、運転者の乗務の途中における電話による体調の報告の規定化は、良い取組みだと思います。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
「運行管理者の役割」 [2013.01.05]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の“運送業のお役立ち社労士”山田信孝です。
貨物自動車運送事業者には、法令を遵守し、安全運行することが常に求められています。
その中で重要な役割を担っているのが、運行管理者です。
運行管理者の業務は、貨物自動車運送事業輸送安全規則(国土交通省令)第20条に定められています。
運行管理者による運転者に対する対面点呼では、運転者の顔色や発言等から健康状態を把握し、普段と違いはないか、酒気帯びはないか(アルコールチェックの見落としがないように)、などを確認し、運転者に対して安全運転を励行する声掛けは、過労運転防止の観点からも、とても重要です。
貨物自動車運送適正化事業実施機関の巡回指導における、重点指導項目の5項目(①過労運転防止、②過積載、③点呼、④乗務員の指導監督、⑤定期点検)のうち、整備管理者が行う定期点検を除き、運行管理者の主たる業務となっていることからも、運行管理者の果たす役割が大きいといえます。
運行管理者の主な業務は次のとおりです。
・乗務員が休憩又は睡眠のために利用することができる施設を適切に管理する。
・定められた勤務時間及び乗務時間の範囲内において乗務割を作成し、これに従い運転者を事業用自動車に乗務させる。
・乗務員の健康状態の把握に努める。
・過積載防止について、従業員に対する指導及び監督を行うこと。
・貨物の積載方法について、従業員に対する指導及び監督を行う。
・運転者に対して点呼を行い、報告を求め、確認を行い、及び指示を与え、また記録し、及びその記録を保存し、アルコール検知器を常時有効に保持する。
・乗務記録について、運転者に対して記録させ、またその記録を保存する。
・運行記録計を管理し、またその記録を保存する。
・運行指示書を作成し、またその写しに変更の内容を記載し、運転者に対し適切な指示を行う。
・運行指示書を事業用自動車の運転者に携行させ、また変更の内容を記載させる。
・運転者台帳を作成し、営業所に備え置くこと。
・運転者に対する指導、監督及び特別な指導を行う。
・運転者に適性診断を受けさせる。
・運行管理者の補助者に対する指導及び監督を行う。
・事故防止対策に基づき、事業用自動車の運行の安全の確保について、従業員に対する指導及び監督を行う。
特筆すべきは、運行管理者は一般貨物自動車運送事業者等に対し、事業用自動車の運行の安全の確保に関し必要な事項について助言を行うができることです。
事業用トラックによる事故をなくすためにも、運転者との良好な関係を維持し、継続していくことが運行管理者にとって重要なことはいうまでもありません。
さらに、運行管理者に対する研修を充実していくことも必要ではないかと思います。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
「改善基準告示」(トラック) [2012.11.25]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の“運送業のお役立ち社労士”山田信孝です。
今回は、貨物自動車運送事業に適用される「改善基準告示」(平成元年労働省告示第7号)の基準について、ご案内いたします。
「改善基準告示」の主な内容は次のとおりです。
1.拘束時間
拘束時間とは、始業時刻から終業時刻までの時間で、労働時間(手待ち時間を含む)と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間をいいます。
(1)1日(始業時刻から起算する24時間)の拘束時間は13時間以内が基本ですが、最大16時間まで延長できます。
ただし、15時間を超える(つまり16時間。)回数は、1週間に2回までとなっています。
(2)1ヶ月の拘束時間は、原則として293時間以内が基本ですが、労使協定を締結した場合には、1年のうち6ヶ月までは、1年間の拘束時間が、3,516時間(293時間×12ヶ月)を超えない範囲内で、1ヶ月の拘束時間を320時間まで延長できます。
2.休息期間
休息期間とは、勤務と次の勤務の間の時間で、睡眠時間を含む労働者の生活時間として労働者にとって全く自由な判断に委ねられる時間をいいます。
1日の休息期間は勤務終了後、継続8時間以上が必要です。
つまり、1日(24時間)=拘束時間(最大16時間)+休息期間(8時間以上)です。
3.運転時間
(1)1日の運転時間は、2日(始業時刻から起算して48時間をいう。)を平均して9時間以内です。
(2)1週間当たりの運転時間は、2週間ごとの平均で、44時間まで延長できます。
4.連続運転時間
1回の連続運転時間は4時間以内とし、運転の中断には1回が連続10分以上、かつ合計30分以上の運転離脱が必要です。
5.時間外労働及び休日労働の限度
時間外労働及び休日労働については労基法第36条に基づく協定により、1日の最大拘束時間は16時間以内、1ヶ月の拘束時間は原則として、293時間以内、労使協定を締結した場合には、年のうち6ヶ月までは、1年間の拘束時間が、3,516時間(293時間×12ヶ月)を超えない範囲内で、1ヶ月の拘束時間を320時間まで延長できることになっています。
なお、協定書は労基署への届出が必要です。
6.休日労働
休日労働は2週間に1回が限度です。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
「貸切バスの夜間運行の交替運転者の配置基準」 [2012.11.21]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の“運送業のお役立ち社労士”山田信孝です。
11月20日の国土交通省の「過労運転防止検討会」において、「貸切バスの夜間・長距離運行の交替運転者の配置基準」が決定されました。
1人の運転者が夜間運行できる実車距離は400kmまでですが、次の2つのケースに限り、500kmまでの特例措置が認められます。
1.乗務時間(出庫から入庫までの時間)が10時間以内であって、「特別な安全措置」を講じている場合 (高速ツアーバスと同じ基準です)
※「特別な安全措置」
(必須)
ア.遠隔地の場合、電話の点呼に加え、第3者の立ち会いによる点呼、またはIT点呼などを行う。
イ.デジタル式運行記録計を装備し、それを用いた運行管理などを行う。
ウ.連続運転時間は概ね2時間以内とし、概ね運転時間2時間ごとに合計20分以上の休憩を確保する。
エ.運行直前の休息期間が11時間以上である。
(選択)
日本バス協会の安全性評価認定を受けていることをはじめ、8項目の内、1以上該当することが要件となっています。
2.休息期間及び休憩について、次の要件をすべて満たしている場合
(1)運行直前の休息期間が11時間以上である。
(2)連続運転時間は概ね2時間以内とし、概ね運転時間2時間ごとに合計20分以上の休憩を確保する。
(3)実車距離400km未満の時点において、最低1回は適切な仮眠施設(リクライニングシート、床下仮眠施設等を含む。)で、仮眠のための連続1時間以上の休憩を確保する。
国土交通省は、冬の多客期に併せ、12月1日から施行するとしています。
利用者(乗客)の安全を確保するためには、運転者の過労を防止するために様々な措置を講じることはとても必要なことだと思います。
併せて、運転者のための安全教育が充実していくことが重要であることは言うまでもありません。
国土交通省の「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」の一部改正のお知らせです。
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000117.html
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
「改善基準告示」 [2012.11.17]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の“運送業のお役立ち社労士”山田信孝です。
長時間労働といわれる自動車運転者の労働時間などの労働条件を改善するための基準として、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(「改善基準告示」)(平成元年労働省告示第7号)があります。
「改善基準告示」は自動車運転者の労働時間等の労働条件の向上を図ることを目的とし、関係当事者は、この基準を理由として自動車運転者の労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上に努めなければならない、とされています。
自動車運転者の労働時間等の規制については、当初は労働基準法のみ、自動車運転者の長時間労働などの労働条件を改善する必要が生じたため、労働基準法によるほか、労働省労働基準局長の通達(二・九通達、二七通達)により行政指導が行われました。
その後、平成元年2月には通達を告示に格上げし、「改善基準告示」を発出した訳です。
「改善基準告示」は、その後一部改正が行われましたが、実質的には平成9年1月に一部改正した内容が現行の内容となっています。
従前にもまして過労死認定の判例等を踏まえ、長時間労働に対する法規制が厳しくなっている中、そろそろ「改善基準告示」の見直し時期ではないかと思います。
一方、国土交通省では、旅客自動車運送事業者が運転者の勤務時間及び乗務時間を定める場合の基準は、「旅客自動車運送事業運輸規則第21条第1項の規定に基づき、事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準」(平成13年国土交通省告示第1675号)において、
また、貨物自動車運送事業者が運転者の勤務時間及び乗務時間を定める場合の基準は、「貨物自動車運送事業の事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準」(平成13年国土交通省告示第1365号)において、それぞれ「改善基準告示」によることとされています。
「改善基準告示」の内容については、今後ご案内することといたします。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
「過労運転防止」 [2012.11.05]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の“運送業のお役立ち社労士”山田信孝です。
今日、国土交通省で開催された、高速ツアーバス事故等の過労運転防止の検討会を聴講しました。
夜間運行の高速ツアーバスについては、本検討会の決定を受けて、7月20日から、新たな「交替運転者の配置基準」が施行されているところです。
今日は高速ツアーバス以外の夜間・長距離運行する貸切バスにおける「交替運転者の配置基準」について議論が交わされました。
交替運転者を必要とする基準として、原則、実車距離が400kmを超えた場合とし、次の条件を満たす場合に限り、500kmまでワンマン運転ができるとしています。
1.運転直前及び運行直後の休息期間が11時間以上である。
2.連続運転時間は概ね2時間以内とし、運転時間2時間毎に合計20分以上の休憩を確保する。
また、少なくとも1回の休憩は適切な仮眠施設で連続1時間以上とする。
国土交通省は冬季に運行されるスキーバス等に間に合わせるため、12月1日から新たな「交替運転者の配置基準」を施行することとしています。
安全な運行を優先することは大事なこととは思いますが、高速ツアーバスの「交替運転者の配置基準」の検証を踏まえ、もっと十分な議論がなされることが必要と思います。
5年前のスキーバス事故を契機として、発出された乗務距離の上限670kmの指導指針は、罰則が適用されなかったこともあり、有効に機能しなかった実例があるだけに。
しかしながら、国土交通省が過労運転防止の観点から、連続運転時間の概ね2時間以内をはじめ、改善基準告示を上回る措置を講じることは、称賛すべきことだと思います。
そして、今後は国土交通省の基準に沿って、厚生労働省は改善基準告示を見直していくことが必要ではないかと思います。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
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メディア掲載
平成26年4月27日、臨時運行管理者試験の対策として、千葉県トラック協会において実施しました「運行管理者試験合格講座」が、日本流通新聞の紙面において紹介されました。
税務・会計の情報誌「Profession Journal」に、平成25年8月、高速ツアーバスが廃止され、新高速乗合バスへの移行・一本化したことに関連する記事(3回シリーズ)を執筆しました。
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