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「行政処分等の基準」の一部改正(運送業WING通信) [2013.10.20]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田信孝です。
平成25年10月20日(日)、江戸川区総合文化センターで、運送事業者セミナー「自動車運送事業の監査方針・行政処分基準等の改正」と題して、講演したレジュメから転載いたします。
トラック、バス、タクシー事業者の「行政処分等の基準の一部改正」が、平成25年11月1日から施行されます。
今回の改正では、輸送の安全確保に支障を及ぼすおそれの大きい「重要な違反」及び法令違反を隠蔽する等の「悪質な法令違反」については処分量定を引き上げる一方、悪質とはいえず警告により是正を促すことができる記録類の記載不備等の「軽微な違反」については、行政指導に留める(再違反を除く)など、処分量定にメリハリがつけられています。
Ⅰ.処分量定を引き上げ
1.「重要な法令違反」とは、次に掲げる10項目をいい、平成26年1月1日の違反から「事業停止(30日間)」という厳格な処分が適用されることにとなります。
(旅客・貨物共通)
(1)「告示」(乗務時間等基準)が著しく遵守されていない場合
告示違反が1ヶ月間で31件以上が3名以上、かつ、過半数の運転者が告示に規定する拘束時間の未遵守
(2)運行管理者が全く不在(選任なし)
(3)全運転者に対して点呼を全く実施していない
(4)全ての事業用自動車の定期点検整備を全く実施していない
(5)整備管理者が全く不在(選任なし)
(6)名義を他人に利用させていた場合
(7)事業の貸渡し等を行っていた場合
(8)監査の拒否・忌避・虚偽の陳述を行った場合
(旅客のみ)
(9)許可を受けずに他の種別の旅客事業を経営した場合
(タクシーのみ)
(10)輸送する旅客の範囲を限定する旨の条件等に違反した場合 (福祉限定タクシーが一般客を送迎するケースなど)
以上、該当する事項毎に、それぞれ30日間の事業停止及び違反点数30点が付与されます。
(ただし、(2)により(3)の場合、合わせて30日間、30点となります)
なお、3年以内に同一違反があった場合には「許可取消し」となります。
2.記録の改ざん、不実記載などは、「悪質な法令違反」とされ、処分量定が引き上げられます。
例えば、初違反の場合、
(1)点呼記録の改ざん、不実記載
(現行)5件以下10日車、6件以上20日車 → (改正後)30日車
(2)乗務記録の改ざん、不実記載
(現行)5件以下10日車、6件以上20日車 → (改正後)30日車
(3)日雇運転者の選任
(現行)選任5人以下 警告 → (改正後)10日車
(4)交替運転者の配置義務違反
(現行)未配置5件以下 警告 → (改正後)10日車
Ⅱ.処分量定を引き下げ
「軽微な法令違反」の場合には、処分量定が引き下げられます。
例えば、初違反の場合、
(1)点呼記録の記載不備
(現行)記載不備率 50%以上 10日車 → (改正後)警告(文書)
(2)乗務記録の記載不備
(現行)記載不備率 50%以上 10日車 → (改正後)警告(文書)
Ⅲ.処分量定の変更
1.初違反、再違反、累違反を適用する場合、次のケースの場合には、同一営業所か否かが問われなくなります(新設)
(1)事業改善命令、安全管理規程の変更命令、輸送の安全確保命令 、事業計画に従った業務命令等の命令違反
(2)名義貸し
(3)事業の貸渡し
(4)検査の拒否・虚偽の陳述
2.「臨時、偶発的なもの」、「反復、計画的のもの」の区別をなくし、一律な処分となります。
Ⅳ.処分日車数算出方法の簡素化
1.最も大きい基準日車に他の違反の基準日車の1/2を加算する方式を廃止し、単純に基準日車を加算する方式に変更になります。
2.再違反の基準日車は、初違反の「3倍」から「2倍」に変更されます。
(例) アルコール検知器備え義務違反
初違反 60日車 (現行)再違反 180日車 → (改正後)120日車
3.重大事故等、道路交通法違反
(1)初違反の場合には、再違反として、再違反の場合には、累違反として、それぞれ適用されることが廃止されます。
4.死傷者事故が発生した場合、死傷者数に応じた係数による処分が加重されることが廃止されます。
運送事業者にとっては、「重要な法令違反」に該当した場合には、「事業停止(30日間)」という厳格な処分になることから、これまで以上に、法令遵守の厳守が求められることになります。
当事務所では、法令遵守に向けた事業者様へのご支援を行って参る所存です。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
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