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「改正労働契約法」 [2012.12.01]
こんにちは。
『東京ウイング社労士事務所』の山田信孝です。
「労働契約法の一部を改正する法律」が、8月10日に公布され、有期労働契約の適正なルールが整備されました。
有期労働契約の反復更新の下で生じる「雇止め」に対する不安を解消し、働く人が安心して働き続けることができるようにするための法改正です。
今回の「労働契約法の一部を改正する法律」では、有期労働契約について、次の3つのルールを規定しています。
1.「無期労働契約への転換」
有期労働契約が5年を超えて、反復更新された場合、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる。
<注1>5年の起算は、平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象です。
<注2>申込みは有期労働契約の期間中に、通算契約期間が5年を超える場合、その契約期間の初日から末日までの間に、無期転換の申込みができます。
<注3>申込みをすると使用者が申込みを承諾したものとみなされ、無期労働契約が成立し、無期労働契約の転換日は、申込み時の有期労働契約の終了日です。
<注4>無期労働契約の労働条件(勤務、勤務地、賃金、労働時間など)は、別段の定めがない限り、直前の有期労働契約と同一となります。
<注5>無期転換を申し込まないことを契約更新の条件とするなど、あらかじめ労働者に無期転換申込権を放棄させることは、法の趣旨からできないことになっています。
<注6>6ヶ月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の契約期間は通算できません。
また、通算の対象となる契約期間が1年未満の場合、その1/2以上の空白期間があると、それ以前の有期労働契約は通算されません。
2.「雇止め法理の法定化」
最高裁判例で確立した「雇止め法理」が、そのままの内容で法律に規定されました。一定の場合には、使用者による「雇止め」が認められないことになります。
(1)過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの(最高裁第一小法廷:昭和49年7月22日判決【東芝柳町工場事件】)の要件を規定化)
(2)有期労働契約の契約期間の満了時に、労働者において、当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて、「合理的な理由」があると認められるもの(最高裁第一小法廷:昭和61年12月4日判決【日立メディコ事件】の要件を規定化)
<注1>「合理的な理由」の有無については、最初の有期労働契約の締結時から「雇止め」された有期労働契約の満了時までの間におけるあらゆる事情が総合的に勘案されます。
<注2>上記(1)、(2)のいずれかに該当する場合、使用者が「雇止め」をすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、「雇止め」が認められません。
<注3>上記(1)、(2)の規定が適用されるためには、労働者からの有期労働契約の更新の申込み(契約期間満了後でも遅滞なく申込みをすれば可)が必要となります。
労働者からの申込みは、使用者による雇止めの意思表示に対して、「嫌だ、困る」と言うなど、労働者の何らかの反対の意思表示が使用者に伝わるものでもかまわないと解されます。
3.「不合理な労働条件の禁止」
有期契約労働者の労働条件が、期間の定めがあることにより、無期契約労働者の労働条件と相違する場合、その相違は職務の内容や配置の変更の範囲などを考慮して、不合理と認められるものであってはならないとされる。
<注1>対象となる労働条件は、賃金や労働時間等の狭義の労働条件だけでなく、労働契約の内容となっている災害補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生など、労働者に対する一切の待遇が含まれます。
<注2>労働条件の相違が不合理と認められるかどうかは、
(1)職務の内容 (業務の内容および当該業務に伴う責任の程度)
(2)当該職務の内容および配置の変更の範囲
(3)その他の事情
を考慮して、個々の労働条件ごとに判断されます。
通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて、労働条件を相違させることは、上記(1)~(3)を考慮して、特段の理由がない限り、合理的とは認められないと解されます。
4.施行期日
(1)「雇止め法理の制定法化」は、公布日(8月10日)から施行されています。
(2)「無期労働契約への転換」、「不合理な労働条件の禁止」は、平成25年4月1日から施行されます。
最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
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